2010/05/19

劇「裏切りの街」 @ 渋谷PARCO劇場

江口のりこwikipedia出演の舞台「裏切りの街」が渋谷PARCO劇場であったので行ってきました。

この劇、7350円と値段がかなり高いので、オークションで安いチケットあったら見に行こうかなーくらいなつもりで臨んでいたのですが、安藤サクラ wikipediaも出るし、ぜひ生で見たいんだけど・・・高い・・・とツイッターでつぶやいていたら、知り合いの方(演劇系のライターをしている)が「私も行こうと思ってたから頼んでみようか?」と気を利かせてくれたので、同行者が居るとなると俄然気合が入る!ってことで、チケットをお願いして行ってきました。(良い席でしたが7350円は払いました。でも高かったけど大変満足です!ありがとうございましたYさん!)




CASTなど
作・演出
三浦大輔
出演
秋山菜津子
田中圭
安藤サクラ
古澤裕介
米村亮太朗
江口のりこ
松尾スズキ
音楽
銀杏BOYZ

江口のりこきっかけではあるにせよ、出演者が豪華で見ごたえありそうだなーと思ってた以外、前知識が全然ない状態で行きました。

ポツドールってよく名前聞くけど、演劇の歴史はあまり知らないので「有名なアレだ」くらいな意識でした。

その辺、チケ手配してくれたYさんが舞台始まる前にあれこれ説明してくれたので(専門用語が多すぎて熟知にいたりませんでしたがw)少し構えて見れました。




感想

その、始まる前に色々Yさんが話してくれたこととしては、この劇のざっくりとしたあらすじや、演出の三浦大輔の傾向から、男子と2人で見に来たのはどうなのかなぁ・・・っていう点、これがありました。Yさんは女性で年齢も近いんですが、友人である程度の関係で刺激の強いものはどうか、と言う話。

見てみての感想ですが、2ショットダイヤルをだるそうにかける田中圭のテレホンセックスからと、冒頭からエロめの内容でスタートにちょっとどきっとしました。が、まぁ、自分も良い大人なのでそこは冷静に見て行きました。

あらすじ書いても仕方ないのでざっくりどう思ったかを書いていきます。




舞台設備・背景について

1舞台、セット変化なしの小劇場の劇をちらほら見に行く(と言っても観劇ファンからしたら圧倒的に本数少ないですけど)程度の者なので、まずステージセットがぐるぐる回って場面展開するのにウキウキしました(笑)。幼稚な感想ですが、やはり巨大な舞台セットが色んな景色を作っていく、その装置っぷりに大道具、舞台セット職人のプロ仕事の粋を感じられる、これも高いお金出した価値ありですね。

とは言ってもファンタジックなストーリーと言うよりは、日常生活の中のふとした"だらしなさ"、ねじれを描いた作品(と捉えてます)なので、とある駅のプラットホーム、とある民家、とあるアパートの一室、どこかの公園といったものだったので生活感のある、"日常的"な雰囲気でした。

映画を見るにしても、ぶっとんだ設定、景色よりも、低予算映画/ミニシアター系で見られる日常的な風景が映像作品になってるものの方が見ていて臨場感がある・・・と言うか、感じ取りやすいので日ごろから好きでそういうの見てますが、そんな雰囲気の舞台作品でした。




内容・テーマらへんについて

内容をざっくり書くと、働きもしないで、同棲している彼女の収入に頼って所謂「ヒモ生活」を送っている若い男(田中圭 演じる)が、遊びでかけた2ショットダイヤルで知り合った、日常にちょっと退屈を感じていた熟女(秋山菜津子 演じる)とたまたま知り合い、よく会うようになり、やがて肉体関係を持ち、それぞれのパートナー(熟女側は松尾スズキ、若い側は安藤サクラ)はそのことも知らずに日々を送ると言ったもの。

でも何も知らなさそうなパートナーたちも実は・・・?! みたいな展開が待ってました。

上映時間は約3時間15分にも及ぶ長編ながら、劇的な内容変化には富まないものの、凝縮した日常を描く内容で、かつ個々の演技力、演出も程よく、長さをさほど感じないもので、見終えて満足度は高かったでした。


役者の個性については、松尾スズキがダントツ面白かった。

彼、非常に有名な方ですが、彼の関わった作品とかあまり知らないのですけども、妻の不倫相手である主人公をいびりに行くシーンがあったのですが、いびりに行きつつもどこか滑稽さが出ていて(脚本も彼の"とぼけた演技"面を押し出したものだったのか)、主人公の追い詰められた演技の生々しさも良かったものの、その天然ボケいびり vs 本気びびりの様子がシビアさと面白さが共存してて良かったですね。


田中圭演じる主人公の「だらしない青年」「なんとなく怠惰な日々を続けちゃった」「不倫相手の旦那にバレていびられて追い詰められる」あたりの表情が良かったです。あまりどういう役者さんかも、これまた知りませんが、見てる側の持ってるであろうだらしなさとシンクロさせるかのような良い"ダメっぷり"でした。


肝心の江口のりこですが、主人公の浮気相手である秋山さんが演じるキャラの妹役か何かで、もちろん必要なキャラではあったにせよ、そんなに出演時間が長くなく、贅沢な脇役と言った印象でした。かといって、江口ファンながら「彼女は主役でしょ!」とは一切思ってないので、さすが名脇役・・・と言った感触です。にしても、もうちょっと江口さん見たかったな・・・。


安藤サクラは園子温監督の映画「愛のむきだし」で、本気で嫌いになりそうなくらねじれた役を演じていて強烈な印象があったので、舞台での彼女も見てみたいと思っていたのですが、ダメ主人公の生活を支える彼女役として地味な役をこなしてました。"地味"とは言っても、物語が後のほうで展開して、ただの地味な女と言う感じでもない裏が待ち受けてるあたりは脚本の妙だなと感じたのですが、安藤サクラ、良い役者だなーと思いました、ざっくりと。




以前KERA MAPを見に行った際に「高い劇は高いだけの手ごたえがあるのかしら!?」と感想が自分にはあったのですが、この劇も、KERA MAPとは質は異なりますが、見ごたえのある"人間のだらしなさ"を描いた作品で、見れて良かったとおもった次第でした。

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