2008/04/25

プリングミン「yes,we are.」


プリングミンのメジャーデビュー盤である、ミニアルバム「yes,we are.」(KSCL 1243 \1680)を発売日前日に店頭に行って手に入れてきた。

店頭特典としてステッカーをいただいた。ミニアルバムのデザインと同様のCGで作られたアートワークのステッカー。ちょっとお得な気分。

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まずcolla discから出た2枚の音源「ミズノイズ」「コヨミポッド」と並べてみた。

コラディスクからの2枚は「ふじしままりえ」っていう人がデザインしているみたいだけども、メジャーデビュー作は「いのうえよしひろ+yukinko(Giottographica)」が担当したらしい。

これ、ふと調べてみたらフジファブリックのジャケットも担当しているデザイングループらしい。

フジファブリックの3枚目「TEENAGER」のみ持っているのだけども、並べてみると確かに同系統と言うか、プロの仕事と言うか、そんな印象。

コラディスクの2枚は手作り感とかわいさがあって好きだったので、逆にこのプロっぽさが少しまだ馴染みません。

アートワークと言えば、チャットモンチーのアルバムが出た時はなんとも言えない気分になった。
Little Barrieの1枚目「We are Little Barrie」をそのまま引用したようなデザイン。
別にLittle~のファンでもなかったのでそんなに憤慨はしなかったのだが、アイデアを借用する程度なら良いと思うのだけども、露骨な真似はプロの仕事としていかがなものかと思った。
これでGOサインが出たのだから、OKっちゃOKなんだろうけど。

話がそれたが、それまで英字だった「plingmin」も、メジャー盤ではわかりやすさ重視かカタカナ表記になった。バンドロゴもポップ体な感じ。


ポップさが出ててこれはこれで好きです。

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内容ですが、帯にも書いてあるように「ポップもロックもシューゲイザーも飲み込んだ、ぼくらが待ってたバンドサウンド。」と言った感じ。

シューゲイザーってロックじゃないのか?
若干微妙な感じもするのだが、雰囲気は伝わってくるキャッチコピー。

実際、ポップス的なポップさもあるけど、ギター2本が絡み合う、時と場合によって落とすところは落とすと言った変化自在な音と、ロックバンドで作り上げる深い音世界がどこかシューゲイザー的と言った印象。

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この音源の売りポイントは、プロデューサー陣が豪華と言ったことが挙げられる。

実際、プリングミンはインディーズながら超活躍したっていうグループではないので一般知名度がまだそんなにない。(ライブハウスに足しげく通ってる人なら名前見たことあるとかってあるかもしれないけど)
名古屋から出てきたっていうバックグラウンドもあり、東京での知名度はおそらく名古屋よりも低い。

で、そこで起用されたプロデューサー陣。
曾田茂一(アイゴン)(track3,5)、AxSxE(track1,4)、渡邊忍(track2,6)の3名。

近年の木村カエラの作品に携わってる3方っていうのが強力。
ポップさとロック感をうまいこと演出できるこの人たちが関わってるってだけで買ってる人もいるのではないかと言った印象です。

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ざっと曲についても。
曲はみんなでジャムって作るらしいです。
誰かが原案持ってきて、みんなで練るっつうか。そんならしい。
どっかのインタビューに書いてあった。

track.1「オレンジ」
プロデュース:AxSxE
作詞:酒井俊輔

リーダーの酒井氏はXTCが好きらしいのだが、その趣味が反映されたようなギターのカッティングから始まるポップなオープニング曲。
レコ初ツアーの名前「1.2.3.GO ミラーボール」のフレーズがサビの歌詞になってる。
Fuzzっぽい線の細いリードギターがカッティングに装飾している感じが愉快な感じです。

track.2「FUN」
プロデュース:渡邊忍

作詞:酒井俊輔

アルバムのシングル曲的位置づけでPVもMusic on!TVなどの音楽専門チャンネルで放送されていたりする。
PVではとてもカラフルな見た目で、これがメジャーデビュー曲っていう位置づけと見てます。

コラディスクから出ている「ミズノイズ」収録の「yellow」にちょっとテイストが似た疾走感のあるポップな曲。
ちょっとしっとりとした雰囲気の曲が多かった(と思う)プリングミンの中でも飛びぬけてポップな印象の曲です。

ちょっとドリーミーに変化する繋ぎの部分はプリングミンの持ち味をふっとポップな曲に入れ込んだ感じで面白いです。

track.3「トンネル」
プロデュース:アイゴン
作詞:山崎真由美

コラディスクから出てる「コヨミポッド」3曲目に同曲が入ってますが、アレンジが変わってます。
イントロは以前はかわいいギターのアルペジオに逆再生のギターが入ってきて歌に乗ると言った感じだったのだけども(形容するなら自転車ですーっとサビまで行く感じ)、今回はスタッカート気味でリズムの縦ノリを強調したベースフレーズと、それに合ったどかどかした感じのドラムに、かきむしるようなギターが乗ったイントロ(形容するなら徒歩でがしがしゆるやかな坂を上っていくような感じ)。

サビで一気に広がりを見せるところは引き続きと言った、大差ないアレンジなのだけども、リバーブによる残響効果をたっぷり加えたコーラスが重ねられていて突き抜ける広さ、爽快感、まぶしさみたいのを強調したアレンジになってるみたい。

音の厚みが断然増した印象で、こういうアレンジになったのかーと関心しました。

track.4「the time has come」
プロデュース:AxSxE
作詞:山崎真由美

「ミズノイズ」に入ってる「the flow at the time is quick」のニューバージョンと言った曲。
と言うかそれを作り直したようなので、同じ曲でもあるけど、タイトルもリニューアル。

この曲はイントロのベースが動くので、そのフレーズが印象的だったのだけども歌が入るとベース(根幹)に徹すると言った仕様だったようだけども、今回はAメロでもベースがうねって動いてます。

ギターも今まで入ってなかった高い音でキンキンしたのが入ってます。

サビ前の繋ぎ部分でリズム感が横ノリになるところのアレンジなどなど、大きな変化はないのだけども、ちょっと調子の外れた歪みまくった轟音ギターがところどころ入ってきたりするのはプロデュースの妙と言ったところでしょうか。
コラディスク版ではもうちょっとキメキメな感じだったのだけども、その辺がちょっとゆらいだ感じで、キメキメ感はサビ前のところ、減ってます。

やはりベースフレーズが大きく変化していることでこの曲の印象が結構変わってます。

track.5「泳ぐ声」
プロデュース:アイゴン
作詞:畠山結花里

シューゲイザー的アプローチと言った、音の深み、音響処理が効果的に使われた曲。
コラディスク盤で言うところの「sou」「再生」が似ているかも。

ドラムの「きゃり」こと、畠山結花里の詞はVocalの山崎真由美やギターの酒井俊輔に比べてどこか絵のスケッチ的な印象を受けます。言葉に意味を持たせて、筋書き立ててと言うよりは、もっと叙情的と言うか、断片的と言うか、そんな感じ。

トリッキーなギターのフレーズがちょろちょろとふわふわしていて(わかりづらい)、深みのあるギターのコード弾きがだーっとペンキを床に広げるような、そんな感じのサウンドです。(これまたわかりづらい)
こういう淡々とした曲でもベースが結構おいしい仕事をしている。ぼやけた曲になりやすそうなところ、うまいことギターの間を縫うようにベースが入ってます。

track.6「im my room」
プロデュース:渡邊忍
作詞:山崎真由美・新田智彦

デビュー作の最後に入ってる曲。
この6曲の中ではポップで、かつアッパーではないのでエンディングにぴったりかも。

「あー楽しかった」と言った感じの詞で、女の子的でもあるけど、新田智彦氏が関わってて、そうでもない感じになっているだろうか。

もともとTeenage Fanclubみたいなバンドやろうとした、と言った記事がどこかのインタビューで酒井氏が語っていたけど、若干そんな感じがしないでもない曲です。

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全体的に音の粒立ちがはっきりしたのと、マニアからポップまでカバーできるプロデューサー陣によるサウンドへの影響が結構大きい印象の作品だなーって思いました。

フルアルバム規模の作品のリリースが今後ありうるわけですが、このミニアルバムで完結する6曲程度のまとめ方は彼女たちの持ち味なのかもしれないです。

新たに出来ていくメジャー仕様の曲も楽しみです。

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