坂本龍一がJ-WAVEにて隔月で放送を行っている番組「radio sakamoto」内のデモテープ募集のコーナーにて紹介され、彼に「面白い」と認められたことがきっかけでデビューを果たした小山絵里奈の2枚目のアルバム「NOMMO」が完成、配信のみでのリリースとして2008/06/25に発売となりました。
先日の小山絵里奈 GROWING DROPS meetingに参加したメンバーとしてその後も小山絵里奈の活動にうっすら関わってたりすることから、先行試聴をさせて頂いたきました。
リリース直前でのレビューになってしまいますが、リリース後もどたなかの目にこの記事が留まり、ダウンロードのきっかけになればと思いレビューさせて頂きます。
小山絵里奈については先日書いたblog記事「V.A/Happy Holidays! by commons」にも記しましたのでここでは割愛させて頂きます。
なお、今回のアルバムに収録された楽曲のことについては先日書いたblog記事「小山絵里奈 GROWING DROPS meeting」にて触れているのでここでも割愛いたします。
あわせて過去記事もお読みいただければ幸いです。
先にも触れたように、このアルバムはまずCDでのリリースを行わず、配信のみで新作をリリースすると言うスタイルを取るとのことです。
ライブ音源、アウトテイク、未発表曲をiTsunesなどのオンラインミュージックストアにて販売するケースは多々聞かれますが、全くの新譜を配信のみでリリースと言うのはなかなか斬新なことです。
インターネット環境が整い、かつPCで音楽を楽しむと言った生活スタイルを持っている人でないとまず入手することがないことからしたら、CDをリリースして店頭に置いておくと言うことをしないのはなかなかリスキーなことでもあります。
所謂「ジャケ買い」と言う、音楽ファン特有の行動に繋がらないのも弱点です。(参考:ジャケ買い はてなダイアリー)
店頭に大量に置いておくことは、新たな広告看板を借りてリリース情報を告知するよりも新たな広告費も発生しないメリットがある為、盤をリリースしないことはやはり不利と言えます。
ここであえて盤をリリースしない背景は先日のミーティングにて伺ったのですが、
commmons -New Music Community for Real Artists and Music Lovers-
「commmons(コモンズ)」とは、坂本龍一をはじめとするアーティストたちが音楽の新たな可能性を模索すべく、エイベックスグループとともに設立した新プロジェクトです。「think global, act local」を合い言葉に、エコロジカルな視点を持ち、社会・文化貢献を目指す新しい音楽コミュニティーとして、アーティスト/クリエイター、音楽産業、ユーザー/リスナーのよりよい関係を作るための「共有地(commons)」となることを目的としています。共有地(commons)の中心に音楽(music)が存在し続けることを願って、3つの「m」の「commmons」と名付けました。
様々な活動の上で排出される二酸化炭素をカーボンオフセットにて良い方向に持っていこうと言うcommmonsの方向性も関係してそうですね。
さてさて、リリース形態がなんであろうと良い音楽は語り継がれて広がっていくものだと思うのですが、やはり配信のみのリリースを若手アーティストが行うには話題性が少ない。
ここでブロガーや各媒体が点と点で繋がりあって話題づくりをしようと言う動きが今回の「NOMMO」リリースの動きの中にも含まれております。
そんなわけで楽曲レビューを載せて行きたいと思います。
各楽曲レビュー
01.「KAI」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
貝殻のような音がした。
貝殻の中から聴こえてくるような
また、そこから「開」いていくような音楽。
そんな「貝」、「開」の意をタイトルに。
(ノンモが恒星シリウスからやってきた。)
どこか前作「VIVIDROP」でカバーされた「My Favorite Things(私のお気に入り)」(JRの「そうだ京都へ行こう」のCMで非常に身近かつ有名なあの曲です)の延長にあるような曲だなって思いました。
どこか懐かしい、それで居てなんだか安心する優しい、不思議な曲。
これが「NOMMO」の幕開けです。
もうちょっと音楽的な話を少しだけ素人目線で書くと、音色は倍音を多く含んだ上品で深みのある音色で、アタック音(音の鳴り始めのこと)がとても硬いです。机をこつこつと叩くような音。
人工造形物的なフェイク感と、いたずら心たっぷりな茶目っ気のある小山さんのキャラクター性っていうのがどの音色選びにも現れているような印象を受けます。(実際そんなに生で本人に会いまくってるわけじゃないから、勝手なこちら側の抱いているイメージもあります)
02.「MARIMBON」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
おじいちゃんが亡くなり、骨の音を聴いて、そこから広がった曲。
タイトルは、MARIMBA(マリンバ)× BONE(骨)= MARIMBON
骨の音の質感に近いと感じた、備長炭を叩いた音を
サンプリングエディットしている。
(ノンモは文明を授けにやってきた。)
先日のGROWING DROPSと言う企画の中でも2回登場し、アレンジがしなおされたりしてました。
小山絵里奈独特の不思議なリズム構築で出来ており、跳ねた硬い備長炭サンプリングにきれいな多重録音によるボーカリゼーションが広がりを持って乗っかります。全体的にマレット(パーカッションを叩く先に球体のふわふわしたのが付いてる坊のことです)で叩いたマリンバ、シロフォン、ヴィヴラフォン、グロッケンらの音色が跳ねて出来ているのが面白いです。
中盤、ショートディレイがかけられて残響処理がありつつ、いかにも!なシンセドラムがポウンポウン鳴ります。この手の音が好きなR35世代には結構良いかもしれません(何)。
シンセ系ノイズ、クリックノイズ、ローファイサウンドも重なってきて非常に豊かな曲になるのでエレクトロニカファンにも食いつきが良さそうな印象です。
03.「儀式菓子」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
収録しようか一時迷ったけど、 アルバムタイトルが
「NOMMO」 決まったときに、入れよう!と決めた。
これは、数年前、ものすごく落ち込み自戒の意味も含めかいた曲。
デモの段階の歌の「勢い」これこそがこの曲の命となり
音質等多少荒いが、このデモのままを収録。
(この文明を繁栄させるには、
ノンモを太陽に捧げなければならない。
その儀式が民族と共に開かれる)
小山絵里奈の楽曲の雰囲気を形容すると、やはりどこか童話、おとぎ話的な世界観があり、作られたファンタジー感があるのですが、1曲目の「KAI」のような優しい雰囲気もあればこの曲みたいなおどろおどろしい雰囲気の曲もあります。
ボーカルも勢いのあるデモ段階を活用した、とあるが、その他の優しくふわっと録音されたものに比べると突き刺すような粗い印象になってます。
自分のチープなイメージとしては、映画「インディージョーンズ」で秘法を求めてジャングル奥深くに行き、謎の集団が謎の儀式を薄気味悪く行っているような、そんな景色が浮かびました。
あと、最初聴いた時はチャイコフスキーの組曲「くるみ割り人形」中の「こんぺい糖の精の踊り」のどこか怪しげな雰囲気と繋がるなーとも思いました。(なんでか知らないけど「こんぺい糖の精の踊り」は小学生の頃聴いて、魔女が何か秘め事しながらぐつぐつ鍋を;;;煮ているような印象を受けた)
04.「白銀」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
世界が白銀に染まっていく様。
このままただ真っ白であれたら、という想いが
霙の音に募っていく。
数種類のガラスの音をサンプリングエディットしている。
氷で出来たグラスミュージックのイメージ。
(儀式が無事終わり、一時の静けさ。)
この曲がGROWING DROPSの頃、ちょうど雪が降り、それにあわせて公開されたりしました。
外は雪、みぞれが、粉雪が、とにかく雪がふわふわと地上に降り立つような幻想的な曲になってます。
GROWING DROPS見てた人からしたら思い出深い曲かもしれません。
柔らかな持続音はどこまでも続く空のような広がりを感じるのと、豆を入れた箱をシェイカーに見立ててしゃかしゃか鳴らしているようなどこか身近で聴いたことのある音がサビで入ってくる点、歌が結構近いところでささやいているような質感で録音されているのが印象的です。
パイプオルガンなんかで生演奏したらすごく良さそうな曲でもあります。
05.「PARTY」
小山絵里奈による楽曲解説
レッツパーリー!!!
1stアルバム「VIVIDROP」の収録曲
「my musical」 のホーンをサンプリングエディットした。
宇宙空間に舞いあがる膨らんだグミのような活きたサウンド。
作詞はトメキチ。
”I've been waiting for PARTY to start
Since I dreamed in a cradle on Mars”
(民族の繁栄の宴)
とても前衛的で変わった曲で、調もマイナー調が入ってきて異様さが引き立ちます。
この曲もリズムの組み立て、ノイズの入り方が騒々しいながら、どこか隙間があって、盛り上がってるのか寂しいのか、人が大勢居るのか、全然いないのかわからないような幻想的な仕上がりになってます。
ターンテーブルっていう物がなくて、でもターンテーブル的なものを生み出しており、それらをスクラッチして遊んでるような、変な音がとにかくいっぱい出てきます。
この曲をにぎやかに感じるか、不安に感じるかはリスナーそれぞれで変わってくるかもしれないですね。面白い曲です。変。とっても変。
小山絵里奈のボーカルのはっちゃけた感じも聴かれます。マイキングも含めて、勢いがあるけどどこかやわらかい印象になるようにうまく録音もされてます。
06.「月雫」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
日本の歌、を歌いたかった。
特にメロディライン、コーラスが美麗。
曲ができた段階で漠然と「月」のイメージがあり、
これはトメキチの詩がのったら
より素晴らしくなると思い作詞してもらった。
詩の世界と音が深くフィットした作品。
(宴が終わり、民の結束を静かに思う)
古ぼけたオルガンが精霊によってぼやーんと演奏されたような音色が生きており、アタック音、リズム感が全体的にぼやかされており、1曲前の「PARTY」に比べて穏やかな印象を受けます。
どこか雅楽的、「雅」な雰囲気もする曲です。音楽の教科書に乗ってても良いんじゃないでしょうか(笑)。
小山絵里奈のボーカルの魅力がわかりやすい曲でもあるような気がするので、入門者にはぜひ聴かせたい1曲です。
07.「eardrum」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
耳元で鳴っているドラム、のようなサウンドの印象があり
このタイトルに。
鼓膜に息が触れるような、
そんなやわらかい声で歌ったり、音色のうねりに
エリナマジックを施した。
またギターを生音にさしかえようかと検討したが
あのシンセのダサさに愛着を感じ、そのまま使った。
(時代は進み、物質から物質ではないものへ)
生ではないギターの音色で全体のリズム、コード感を出しているようだけども、この質感が面白い。
以前のGROWING DROPS meetingのライブの際はガットギター(※1)、アイリッシュハープ(※2)のナイロン弦ユニットをバックに生で歌ったりしてましたが、そういう編成でも再現されやすそうな曲です。
小山絵里奈自身の解説にもあるように、これも耳元でささやくような柔らかさで歌われてます。
距離感は近いんだけど声しか聞こえてこないような、肉体性があまり感じないのだけどもすごく解けていくような曲になってます。
さりげなくコーラス、ピアノの音色、フェイクギターのリズムとの絡み、機械的なゆったりしたリズムの絡みがアコースティックに響いて面白い作りしてます。ところどころにシンセサイザーが壊れたような詰まった感じの音が入るのも面白い。
アコースティックじゃないのにアコースティック、フェイクなのにナチュラルに聴こえる、こういう曲が作れる小山絵里奈っていうのはやっぱりすごいなと思います。
08.「デメララ」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
「デメララ」とは南米のラム酒の名前。
歌詞の中に「ラム 注いだら 喉 清めるの...」
とあるけど、このラムの味を想像した。
森の中での演奏の感じ(ちょっと籠ったサウンド)が
マスタリングによってさらに描き上げられたと思う。
(さらに起源をさかのぼりながら進化)
でもこっちはもうちょっと肉体的で、どこか官能的な仕上がりです。
童話、おとぎ話的ではあるのだけども、子供向けではない、テレビのない森の中の民族による深夜番組と言った印象があります。
おんぼろなドラムセットを叩く精霊の姿がどこか浮かぶようなリズム隊、ジャジーに聴かれるピアノの旋律、得体の知れない怪物がぼそぼそと何か言っているような音が入ったりと、音色も不思議です。
当初楽曲名が決まっておらず、タイトルをなんと想像するかと添えられて公開されていた曲でもあります。
曲中に出てくるラム酒から実在するラム酒「デメララ」と言うタイトルが冠されたようです。
09.「Little Things」
小山絵里奈による楽曲解説
この曲は、タイトルのような
小さな幅の動きで構成される曲に
仕上がった。全体の音数も少ないが、
メロディにおいても、あまりたくさんの
音階は使わずに進行させた。
(ひとつひとつ少しづつ変化していく)
幼稚園や教育番組なんかで流してもとても親しまれそうな雰囲気で、しかしポップス過ぎないコード進行に好感が抱けます。
この曲は先日当blogでも紹介した「Happy Holidays! by commmons」にも収録されているが、今回のアルバム収録に向けて少しアレンジを直しているとのことで、聞き比べも面白いかもしれない。
大ファンながら聞き比べは面倒で基本的にしませんが(笑)、聞き比べて違いがわかったら加筆したいと思います。
上記オムニバスに収録されたこともあって、今のところ小山絵里奈の中でもっとも知名度の高い曲なのかもしれないですね。
先日のmeetingにて、かつてGROWING DROPSの公開時に映像をつけていた中でのメンバー、ガットギター(※1)にアイリッシュハープ(※2)の「ダブルナイロン」と小山絵里奈のトリオでの生演奏にてこの曲を聴きましたが、とても良かったです。またあの編成プラスちょっとしたパーカッション隊(鍵盤、音階のある奴)なんか入った状態で見てみたいなーなんて思う次第です。
「Happy Holidays by commmons」はタワレコ限定販売となっているそうなので、お買い求めはタワーレコードで。(別にタワレコの回し者ではないです。)
楽曲の音色、音について少し付け足しておくと、これも不思議なおもちゃ箱を開けたような滑稽なオルゴールのような音で構築されてます。非常にゆったりしていて穏やかなのでお子様にうってつけ!教育に良い音楽な気がするので、音楽の先生なんかはぜひピックアップして頂けると良いんじゃないかと思います。
良い曲なので自分も勝手にギターアレンジして弾き語りでもやってみようかなと今思いつきました。思いついただけでやるか不明ですが・・・・(笑)。
10.「ユートピアとくま」
小山絵里奈自身による動画CM
小山絵里奈による楽曲解説
これは 数年前に観た「bear's kiss 」
という映画の影響でできた曲。
「きみはどこからきたの?」という冒頭。
エモーショナルなメロディなのに、低い温度の中に
包まれているような不思議な浮遊感。
完全なる想い出の歌。
(記憶の回想)
基本的にこの曲は電子音で出来ているのだけども、ぼんやりとした作りになっていて、リズム音が基本的にないので「Little Things」の次に持ってきたのは結構良い気がします。
無音階のテルミンのような浮遊する音がどこか宇宙的にも感じるのだけども、ふさふさした毛皮の大きな腕の中で包まれているようなこじんまり感も感じられます。でも楽曲が展開するところではすーっと溶け込むような柔らかな残響処理を施しており、これまた心地よいボーカリゼーションが聴かれます。
こういう音処理を要所要所に、かつボーカル部分にと言うのはなかなか耳慣れない感じはするのですが、声を音色のひとつとしてうまいこと使ったトータルコンポージング的視点から見たら、やっぱり見事な出来だなと感じます。(なんか何言ってるかよくわからないですね。とにかくよく出来てます!)
「熊」じゃなくて「くま」なのは良いですね。
こういう言葉の感覚が小山絵里奈の秀逸なところだとも思います。
堅苦しくなく、真面目でもなく、不真面目ではないんだけど真剣で、とにかく柔らかい。
blogやその他インタビューなどでの受け答えを見ている限りでは、結構アグレッシブな部分も持ち合わせている人だと伺えるのですが、作品の多くはとても柔らかな印象で満ち溢れてます。
11.「幻ゲーム」
小山絵里奈による楽曲解説
わたしとトメキチのコラボレーションも
ある種、お互い「幻ゲーム」によって作品が
生まれている時の面白さ。
「お互いの幻を青空に透かして
重なり合うところを探して遊ぼう
重ならないところを見つけて遊ぼう」
(現実とのリンク)
企画の最後、4月、春の訪れ、これらにふさわしい優しさ、ぬくもり、儚さがどこかに感じられる曲で夢見心地でした。改めて聴きましたが、この曲はこのアルバムの中でもっとも好きです。
「幻」とあるように、現実的ではない感覚での遊び、ゲームを歌った歌で、何か見たことがあったのだけどもそれは気のせいだったとか、思い返すのだけども思い出が曖昧でぼんやりしていたり、でも漠然と楽しかったような、そんな雰囲気の音色と曲です。
ただ、曖昧だったり、不確かだったりのやりとりを作詞で協力しているトメキチ氏としながら作品を作っている小山絵里奈からしたら、もしかしたら現実的な話、現実ゲームなのかもしれないけども、その抽象的なぼんやりをこの曲に集約している視点も面白いです。
この曲を聴いてどうして懐かしい感じがしたかと言うと、オルガン的な音色(幼稚園~小学生にて触れた音楽の伴奏を彷彿とさせる音色)の調子が外れたぼやけ方と、終わりの方で聞かれる遠くで鳴っているかのような鐘の音色(実際鐘の音ではないらしい、鐘のような音)だったり、音色の選び方、鳴らし方、構成ががっちがちではなく、余裕のある雰囲気がそうなのかもしれません。
いまいち説明がしづらいので言葉がどんどんと遠回りになってしまいますが、わかりやすく短くまとめると「どこか懐かしい雰囲気がする曲」です。(懐メロ的な懐かしさではなく、幼かった頃に耳にしていたような音がたくさん聞こえるような気がする感じが、ですね)
12.「UNBORN」
小山絵里奈による楽曲解説
特別な曲。わたしにとってもトメキチにとっても。
トメキチに詩をもらって、すぐ音を迎えた。
「眠れば夢か
覚めれば夢か
夢中で僕らは戯れる....」
(すべては夢?)
まるで今まで出てきた「くま」だったり、「儀式」だったり、雪景色、月の雫が夜を伝う景色だったり、酔っ払った官能的な出来事だったり、それらがすべて広大な暗闇、無限の宇宙の中ではあったことなのか、なかったことなのか、よくわからなくなるような、そんな最後を迎える。
「幻ゲーム」で安らかに、楽しかったなぁ・・・で終わりたかった気もしないでもないですが、結局「そういうことだった」感がこの曲が最後に来ることで感じられます。
音楽って時と場合によっては押し付けがましいし、意識を持っていかれるし、時と場合によっては勇気付けられたり、元気をもらったり、興奮させられて熱くなったりとかするものなのだけども、音楽が鳴り止む時がいつか来る。
それは具合が悪くて、とにかく悪くて、命が静まる時かもしれないし、くたびれて音楽への意識がなくなって眠りに落ちる時かもしれないし。
「NOMMO」の扉を開けて(1曲目「KAI」)、「まだ生まれない・未来の」(最後の「UNBORN」)ことなのかもね、っていうオチのつけ方。聴いた人がどう思うかは人それぞれなわけなのだけども、ちょっと「やられた」感がありました。
だらだらと感じたままに解説したので若干わかりづらいとは思うので、わかりやすくまとまった小山絵里奈自身による解説を基本的なリファレンスとして添え、本編を聴いていただければ幸いです。
メッセージ性がある音楽と言うよりはもっと普遍的な作品なので、ふとここにいつでも帰ってこれるようなホームな感触も感じられる作品なので、多くの方に親しまれたら良いなとファンながら思うのでありました。
そんな感じで、小山絵里奈「NOMMO」をお楽しみくださいませ。
※1 ガットギターを担当したのは小田島伸樹さん。ジャズ、ロック、ボサノヴァなど幅広くフォローされるイカしたギタリストだそうです。ケーブルを挿す穴のついたガットギターに、足元はSAN'S BASS DRIVER D.I.からミキサー卓に直接繋いでPAからギターの音を出してました。
※2 アイリッシュハープを担当したのは「さやつん」こと廣瀬 沙耶佳さん。日ごろはケルトアンサンブルなどの演奏をされているそうで、坂本龍一主催の坂本龍一/ロハスクラシック・コンサート(LOHAS CLASSIC 2007)に出た(e)SHUZO BAND(カッコイーシュウゾウバンド)を観た小山絵里奈が直々に坂本龍一氏を通じて紹介してもらったそうです。「かわいい!」っていうんでナンパした、との本人談。(笑)(e)SHUZO BAND web siteにて画像が見られます。活動休止されたみたいです。
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